会社ナビ :『KIRIN(キリン)』は“日本ビール産業の始祖”から繋がる、総合飲料メーカー!

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KIRIN(キリン)といえばやっぱりビール。それとも若い世代にとってはサッカー「キリンカップ」のイメージも? 日本を代表する総合飲料メーカーのひとつ『KIRIN』の歴史とブランドを探ってみよう。

キリンは2013年夏、JR中野駅前の大型ビル「セントラルパークサウス」に移転。都内各所に散らばっていたグループ会社を一ヵ所に集結させた!

キリンビールの原点は横浜、日本ビール産業発祥の地

明治時代のはじめ、横浜港が開港してまだ10年そこそこの時代。ノルウェー出身のアメリカ人、ウィリアム・コープランドは、ビール醸造所「スプリングバレー・ブルワリー」を設立した。

 

当時、横浜にはほかにもいくつかビール醸造所があったようだが、数年で廃業するところが多い中、「スプリングバレー・ブルワリー」は、14年も事業を続け、のちに日本人好みのビール醸造をするなど、大きな功績を残した。“日本ビール産業の始祖”と呼ばれる所以だ。

 

当時の醸造所跡地はいま、キリン公園と名付けられている

横浜の外国人墓地にはコープランド夫妻のお墓が。なお関係者以外は立入禁止。

「スプリングバレー・ブルワリー」は、順調に発展したが、経営不振に陥り、コープランドは醸造所を公売に出すことになった。この時、この跡地を引き継いだのが、キリンビールの前身会社「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」だ。この会社は、外国人経営だったが、日本人として唯一、設立時に出資したのは、三菱の岩崎彌之助。そして、1888(明治21)年、「キリンビール」が発売された。

KIRIN本社には聖獣「麒麟」の銅像が飾られている。「キリン」のはじまりは、ビールの一銘柄だったわけだ。

その後1907年(明治40年)、岩崎久彌の率いる三菱が中心となって事業を継承、正式に「麒麟麦酒株式会社」が発足、今日に至るというわけである。

 

キリンホールディングスは三菱グループ・金曜会27社に名を連ねる

そんな成り立ちであるから当然、KIRINはいわゆる旧財閥系、三菱グループの会社なのだ。三菱グループといえば三菱UFJ銀行を代表として、消費者になじみ深いところでは三菱自動車やニコン、ほかにも三菱商事の子会社として伊藤ハム、ローソンなど、日本を代表する様々な企業が名を連ねている。

岩崎弥太郎の子孫たち。ロゴマークの赤い会社が多い。

三菱グループの企業オフィスには、キリンの自販機が置いてあることが多いので、注目してみると面白い。

 

キリンは3つの国内飲料事業会社を持つ

ビール会社として100年以上の歴史を誇るキリンビールだが、1928年(昭和3年)にはノンアルコール・ドリンクも売り出した。ご存知『キリンレモン』である。今年で発売から90周年を迎える!

その後、清涼飲料の専門会社として「キリンビバレッジ」を設立。2006年にはワインを扱う「メルシャン」もグループ会社となった。

KIRINグループ中野本社の総合受付。

「キリンビール」「キリンビバレッジ」「メルシャン」この3社が、キリン株式会社の3本柱だ。KIRINはいまや国内ビール類シェアで2位、国内清涼飲料メーカーとして3位グループ、大手国内ワイン事業メーカーとしての規模を誇る。

広いエントランス。赤いソファーが印象的。

 

いまに繋がる麒麟麦酒

さて、銘柄としての「キリンビール」だが、名称変更していまも売られているのをご存知だろうか。そう『ラガービール』がそれなのだ。

いまや『一番搾り』にメインの座を譲った形だが、たまには『ラガー』で明治のロマンを感じてみるのも悪くない。

ほかにも馴染み深いKIRINの商品は、沢山ありすぎて数えきれないほど。発泡酒として『淡麗』、新ジャンルとしては『のどごし生』や、新作の『本麒麟』がある。チューハイ類では爆発的ヒットとなった『氷結®』、高アルコールの『キリン・ザ・ストロング』も面白いチャレンジだと感じた。

キリンビバレッジの代表的なアイテムといえば『午後の紅茶』『生茶』、コーヒーの『ファイア』など。

グローバルブランドとして『ボルヴィック』『トロピカーナ』もキリンビバレッジの商品だ。

『ボルヴィック』『トロピカーナ』もキリンビバレッジのグローバルブランド商品!

メルシャンもまた歴史ある会社で、日本で初の民間ワイン会社である「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツに持つ140年企業。日本ワイン『シャトー・メルシャン』は国内外のワインコンクールで高い評価を得ている。

『シャトー・メルシャン』は、プレミアムな日本ワイン。

また、国内製造ワイン『おいしい酸化防止剤無添加ワイン』シリーズは、NPO法人日本マザーズ協会推奨商品に認定されている。海外ワイナリーとも関係が深く、世界各国のワインを日本に輸入販売している。

手ごろなデイリーワインから、ファインワインまで、美味しいワインがたくさん!

 

記者が感じる、キリンのイメージ

堅実なイメージのある会社だ。

香料・甘味料を使わない商品の扱いに長け、じつに美味しく、仕上げてくる印象がある。素材本来の味で勝負しているのか? 香料を足すこと=ダメでは決してないわけで、そこにキリンのプライドを感じる。職人的な印象が漂い、決して浮ついたことは行わない、そんな社風までを想像してしまう。

会議室には「生茶」「午後の紅茶」など、キリンの飲料ブランドの名前が付けられているのはお茶目(笑)

業界シェアにしても、たとえば清涼飲料はこの20年ほどでサントリー、アサヒ、伊藤園が王者コカ・コーラのシェアに食らいついているのに対して、キリン(ビバレッジ)はずっと横ばいの10%前後をキープ。堅実なモノづくりと、それを支えるファンの存在を、数字から感じる。

サッカー日本代表も応援しています。

そういえば、サッカー日本代表への支援も40年続けている。KIRINには「サッカーを通じて、人を応援する。」という想いがあるそうだが、何十年もブレずに支援を続けることは容易でないはずで、驚嘆に値する。

 

 

広報の人に聞いてみた

実際のところKIRINグループはどんな会社なのか。中の人に聞いてみた。回答いただいたのはコーポレートコミュニケーション部の清利幸代氏。

 

ーキリングループの会社としてのウリはどんなところ?

「人」だと思っています。広報という仕事柄、グループの色々な会社、色々な部署の人と関わる事が多いのですが、モノづくりへの熱い想いはもちろん、自社グループ商品に強い愛情と誇りを持って仕事に取り組む姿勢を持った人が多いです。歴史に培われたキリンのDNAと思います!

 

ーでは、キリンの社内の雰囲気や、職場としての魅力は?

キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンの社員同士の交流が多く、それぞれのいいところを真似したり、補い合ったりして、とても風通しがよいと思います。あとはやっぱり、色々なお酒や飲みものに詳しいプロがたくさんいるので、とても勉強になります!

 

ーキリンはこれから、どんな展開を考えているか?

ビールをはじめ、ワインや清涼飲料といった飲料を通して、お客さまにワクワク楽しんでいただけるようなご提案をしていきたいと考えています。また、「KIRIN」グループの技術を結集し、新たな健康領域での商品提案にチャレンジしていきます。お客さまの幸せな未来に貢献することを目指しています。ご期待ください!

 

 

まとめ:はじめの一歩を踏み出す総合飲料メーカー

KIRINの事業理念はこうだ。

「飲みもの」を進化させることで、「みんなの日常」をあたらしくしていく。

なるほど、たしかにKIRINは、新たなフィールドへ挑むチャレンジングスピリッツも持ち合わせていると思う。“日本ビール産業の始祖”から繋がるという出自からしてそうだが、『一番搾り』『午後の紅茶』『氷結』『生茶』あたりが最初に登場したときのインパクトは凄かった。それまでの概念を覆す、圧倒的な美味しさがあった。最近では、豊かな味わいを追求した新ジャンル『本麒麟』が話題に。

飲んだことがなければ一度ためしてみてほしい新ジャンル、『本麒麟』。

そもそも中野の本社ビルにグループ会社を集めたのも、これからは酒類・清涼飲料の枠を超えた事業に挑戦したいという姿勢の表れだという。『一番搾り』は間違いなく美味しいけれど、そのバリエーションじゃなくて、それに並び、超えるブランドがいずれ出てくることを期待したい。過去に『一番搾り』が『ラガー』を超えていったように!

 

会社概要

正式名称 キリン株式会社

(グループ内に ①キリンビール株式会社 ②キリンビバレッジ株式会社 ③メルシャン株式会社)

事業内容 酒類事業、清涼飲料事業を柱とした国内綜合飲料事業と

国内綜合飲料事業の事業管理及び専門サービスの提供

本社 164-0001

東京都中野区中野4丁目10-2 中野セントラルパークサウス

資本金 5億円
従業員数 1,100名(2017年12月31日時点)
売上高 1兆8637億3,000万円(2017年12月期キリンホールディングス連結業績)
電話番号 03-6837-7001(代表)

 

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